甲状腺
甲状腺

甲状腺は首の前側、のどぼとけの下あたりにある小さな臓器で、蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺ホルモンを分泌し、体の新陳代謝を調整する重要な役割を担っています。具体的には、体温の維持、脈拍、エネルギー消費、発汗、体重変化など、全身のさまざまな働きに関係しています。
甲状腺疾患は内分泌疾患の一種で、甲状腺機能の亢進を放置すると代謝が過剰になり、体重減少、手指の震え、動悸、異常に汗をかくといった症状が現れます。
逆に甲状腺機能が低下すると、代謝が悪くなり体重増加、便秘やうつ状態(無気力)といった症状が現れます。また、甲状腺自体にしこりや炎症が起こることもあります。甲状腺の病気は症状が多岐にわたるため、気になる症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
このような症状やお悩みがある方は、ご相談ください。
甲状腺の疾患は、頻度が高く、いずれも早期発見が非常に重要な疾患ばかりです。特に女性の方は、男性よりも甲状腺の病気になりやすいです。
当院では医師による甲状腺エコー(予約制)や甲状腺に関する血液検査で早期診断および適切な治療に努めております。甲状腺以外の内分泌疾患も診療可能ですので、症状が当てはまる方や、気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
甲状腺ホルモンは、多すぎても少なすぎても体調が悪くなります。バセドウ病は、甲状腺ホルモンを過剰に産生する病気で、代謝が高まる(亢進する)ことでさまざまな症状が現れます。
典型的な症状としては、頻脈、暑がりになり汗をかきやすくなったり、手が震えたり、体重減少、動悸などが現れます。下痢、気持ちが落ち着かない、疲れやすいなどの症状を伴うこともあります。女性では生理が止まることがあります。男性によくみられる症状には、炭水化物の多い食事の後や運動後などに手足が突然動かなくなる発作(周期性四肢麻痺)があります。
のどぼとけのすぐ下にある甲状腺は、全体的に大きく腫れてきます。眼球が突出して、周りの人に指摘されたり、目が完全に閉じられなくなり、充血することもあります。
治療は大きく分けて、薬物療法、放射性ヨウ素内用療法、甲状腺摘出術の3つがあります。多くの場合、まず抗甲状腺薬による薬物療法が行われます。抗甲状腺薬での副作用を認める場合、薬物療法を2年程継続しても薬を中止できる目途が立たない場合や再発の場合には、放射性ヨウ素内用療法や甲状腺摘出術などの他の治療法も検討されます。
バセドウ病は心身へ様々な影響が引き起こされ、長期的には心血管に影響を及ぼし、生命予後も不良となりやすいことから、適切な治療により甲状腺機能を正常化し、維持することが重要です。
橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれ、甲状腺ホルモンが少なくなる病気の代表的な疾患です。日本人で頻度が高く、全人口の約10%にもおよび、特に若い女性で多くみられます。橋本病のうち薬物療法(甲状腺ホルモン薬の補充)が必要になる甲状腺機能低下症になるのは、4~5人に1人未満といわれています。
橋本病は免疫の異常により炎症が生じ、甲状腺が少しずつ破壊され、甲状腺ホルモンが作れなくなります。甲状腺の炎症により首が太くなったようにも感じる方もいらっしゃいます。症状としては、全身の代謝が低下するため、徐脈、耐寒性の低下(寒がり)、皮膚乾燥、体重増加、体温低下、うつ状態(だるさ)、かすれ声、便秘、高脂血症などが出現します。女性では月経過多になることがあります。うつ病や更年期障害、脂質異常症として治療されている方で、原因が甲状腺機能低下症だったということもあるので、疑わしい症状があれば、甲状腺ホルモンの検査をおすすめします。
血液検査で甲状腺の機能低下(甲状腺ホルモンの減少)がみられない場合、原則的に薬物治療は必要ありません。少なくとも1年に1回の血液検査フォローをおすすめしております。甲状腺機能低下症が認められる場合は、合成T4製剤(甲状腺ホルモン薬)の内服を行います。昆布など海藻類やうがい液に多く含まれるヨウ素の過剰摂取は、甲状腺の働きを低下させるため、過剰摂取が疑われる場合は、ヨウ素制限も必要となります。
甲状腺腫瘍は無症状のことが多いため、頸部のしこりに偶然気が付いたり、検診などで指摘されることが一般的です。その他、近年、人間ドックなどで画像検査をする機会が増え、たまたま画像で甲状腺に結節がみつかり、ご紹介いただくことも多いです。甲状腺の腫瘍の多くは良性腫瘍であり、腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)、のう胞などが含まれます。悪性腫瘍(甲状腺がん)は、乳頭がんが全体の90%以上を占めているといわれています。一般的ながんと違い、乳頭がんは進行がゆっくりという特徴があります。
甲状腺に腫瘍がみつかった場合、当院ではまず超音波検査を行います。結節の大きさが2cm以上、それより小さくても悪性を疑う場合は、精密検査として穿刺吸引細胞診へとすすみます。穿刺吸引細胞診は、甲状腺結節の中身の一部を針で刺してとってきて、がん細胞がいるかを調べる検査です。当院ではまず甲状腺エコーを行い、穿刺吸引細胞診が望ましいと判断した患者様には連携病院にご紹介させていただいております。
腫瘍が大きい場合、甲状腺のしこりや甲状腺全体に腫れが認められます。前頸部に飲み込みにくさなどの違和感を感じることもあります。腫瘍から甲状腺ホルモンが過剰産生される機能性甲状腺結節では、甲状腺機能亢進症と同じような症状がみられることがあります。
良性腫瘍であれば、原則的に定期的な甲状腺エコーと血液検査による経過観察となりますが、腫瘍が大きく空気の通り道である気道を圧迫している場合や美容上気になる場合、あるいは悪性腫瘍の合併が疑われる場合などは手術を検討します。悪性腫瘍の治療は手術が基本です。術後再発や遠隔転移がある場合は、手術後に放射性ヨウ素内用療法が行われます。
甲状腺腫瘍は、当初、良性と思われていた腫瘍が、経過とともに悪性の可能性が高まってくることがありますので、良性と診断されたとしても経過観察は必要です。とくに経過中に大きくなったり、甲状腺エコー上で腫瘍の見た目が変化するケースは要注意です。
甲状腺にしこりができる病気のなかで最も頻度の高い疾患です。甲状腺エコーではスポンジ状にみえる結節が特徴的で、結節が多発した状態を「腺腫様甲状腺腫」、結節が単一のものを「腺腫様結節」といいますが、病態は同じです。甲状腺の細胞が増えたり、壊れたりしながらしこりを形成します。良性ですので圧迫感などの強い症状や美容上で問題がなければ、手術はせずに定期的な甲状腺エコーと血液検査による経過観察となります。
甲状腺に炎症が起こり、甲状腺組織が壊れる病気で、炎症による症状と甲状腺ホルモン高値(甲状腺中毒症)による症状が伴います。炎症による症状には、発熱、甲状腺の腫れ、強い痛みなどがあり、甲状腺ホルモン高値による症状には、全身倦怠感、動悸、多汗などがあります。風邪の後に続いて起こることがしばしばあり、ウイルス感染により生じる可能性があります。
診断は症状に加えて、血液検査で甲状腺ホルモンの上昇や炎症反応の上昇を確認します。また甲状腺エコーで、痛い部分に一致した特徴的なエコー所見があるかも確認します。治療としては発熱と痛みに対して解熱鎮痛剤を処方します。痛みが治まらない場合や倦怠感が強い場合は副腎皮質ホルモン(ステロイド)を処方します。ステロイドの内服で症状はおおむね改善しますが、急に内服を中止すると、ぶり返してしまうことがあるので、症状改善後は薬を少しずつ減らし、中止します。
男女比では女性に多く、血のつながったご家族に甲状腺の病気の方がいらっしゃる場合、体質としてなりやすい傾向にあります。
甲状腺の病気は自己免疫疾患が多いため、寛解した後も血液検査や甲状腺エコーによる定期的な経過観察が必要です。
例としてバセドウ病を治療せずに放置した場合、甲状腺クリーゼという重症で危険な状態となり、約10%の方が亡くなると報告されています。
はい。内分泌代謝・糖尿病専門医がおりますので、甲状腺エコー(予約制)と血液検査による検査をさせていただきます。
必ず遺伝する疾患ではないですが、甲状腺の病気がある方がご家族にいらっしゃる場合、高い確率で自己免疫疾患である甲状腺の疾患を発症しやすいです。
可能です。甲状腺機能亢進症の場合、抗甲状腺薬の種類によっては胎児奇形の報告もあることから、主治医と相談した上で、計画妊娠が勧められます。甲状腺機能低下症の場合、不妊や流早産のリスクがあるため、厳格な甲状腺コントロールが必要です。当院でも治療可能です。
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