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「症状がないから大丈夫」ではない病気、高血圧。

「症状がないから大丈夫」ではない病気、高血圧。|大井町駅にある平田内科泌尿器科クリニック|内科・泌尿器科・皮膚科・アレルギー科・糖尿病内科・漢方診療

2026年9月30日

「症状がないから大丈夫」ではない病気、高血圧。

「血圧が少し高いと言われたけれど、特に具合は悪くないから大丈夫」

そう思っている方は少なくないかもしれません。しかし、高血圧の怖さは、まさに自覚症状がほとんどないまま、長い時間をかけて血管や臓器に負担をかけていくことにあります。

血管は、全身に血液を届ける「水道ホース」のようなもの。高い圧力が長くかかり続けると、血管は少しずつ傷み、硬くなっていきます。しかし、その変化を痛みとして感じることはほとんどありません。そして、水道ホースと違って、私たちの血管は簡単に交換することもできません。

高血圧は、

自覚症状がないまま進行することから、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。

日本の成人の死亡数に関連するリスク因子の研究では、高血圧に関連する死亡が最も多く、その死因の大部分を循環器疾患が占めていました(1位高血圧、2位喫煙、3位高血糖)。高血圧は、自覚症状に乏しい一方で、日本人の健康に大きな影響を及ぼす重要なリスク因子です。

一方で、必要以上に怖がる必要はありません。高血圧は、早く気づき、生活習慣を改善し、必要な場合には薬を適切に使うことで、十分にコントロールできる病気でもあります。

高血圧とは?

高血圧の診断基準は、繰り返し測定した上での判断になりますが、診察室で測った血圧が140/90 mmHg以上、家庭で測った血圧では135/85 mmHg以上です。

高血圧の多くは、遺伝的な体質や加齢、食塩摂取、肥満、運動不足など複数の要因が関係し、一つの原因に特定できない「本態性(ほんたいせい)高血圧(こうけつあつ)」です。

このほか、腎臓やホルモンの病気など、特定の原因によって血圧が高くなる「二次性高血圧」もあります。若い方で急に高血圧になった場合や、複数の降圧薬を使っても血圧が十分に下がらない場合などには、背景に原因となる病気がないか調べることも重要です。

「家庭血圧」は重要

血圧はいつも一定ではありません。時間帯、活動、緊張、睡眠などによって変動するため、健康診断や診察室で一度測った値だけでは、普段の血圧を十分に把握できないことがあります。

病院では緊張して血圧が高くなる「白衣高血圧」がある一方で、診察室では正常でも家庭では高くなる「仮面高血圧」もあります。

そこで重要なのが、家庭で定期的に血圧を測ることです。

特に朝起床後1時間以内に、排尿後、朝食や服薬前に、座って1~2分安静にしてから測定するのが基本です。夜も就寝前に測定することで、普段の血圧をより把握しやすくなります(可能であれば、朝・夜とも原則2回測定し、その平均値を記録します。)。

大切なのは、一度の数値に一喜一憂することではなく、できるだけ同じ条件で継続して測り、自分の血圧の傾向を知ることです。家庭血圧は高血圧の発見だけでなく、生活習慣の改善や薬による治療がうまくいっているかを確認するためにも役立ちます。

日本には高血圧の人が約4,300万人

日本には、高血圧の人が約4,300万人いると推計されています。そのうち、血圧を十分にコントロールできていない人は約3,100万人。さらに、そのうち約1,400万人は自分が高血圧であることを認識しておらず、治療も受けていないと推計されています。

日本高血圧学会が公表した「高血圧の10のファクト」では、日本では高血圧が原因となる脳卒中や心臓病によって年間約17万人が死亡しているとされています。

こうした点からも、血圧を下げることには明確な意味があります。

収縮期血圧、いわゆる「上の血圧」を10 mmHg下げることで、脳卒中や心臓病の発症を約2割減らすことができるとされています。

「たった10 mmHg」が、将来の健康を大きく左右する可能性があります。

高血圧の診断基準:140/90 mmHg、治療目標:130/80 mmHg未満

2025年、日本高血圧学会は6年ぶりにガイドラインを改訂しました。名称も「高血圧治療ガイドライン」から「高血圧管理・治療ガイドライン」へ変更されています。そして、大きな変更点の一つが降圧目標です。

高血圧の診断基準はこれまでと変わらず、診察室血圧140/90 mmHg以上、家庭血圧135/85 mmHg以上ですが、降圧目標は統一され、個々の状態に十分配慮しながら、原則として診察室血圧130/80 mmHg未満、家庭血圧125/75 mmHg未満を目指すこととなりました。

ただし、「血圧は低ければ低いほどよい」という意味ではありません。血圧を下げることで、めまいや立ちくらみなどが起こる場合もあります。

年齢や持病、体の状態などを考慮し、医師と相談しながら、その人に合った目標を設定する必要があります。

高血圧の治療の基本

高血圧の背景には遺伝的な要因と生活習慣の両方があります。このため、生活習慣の改善(非薬物療法)は高血圧の治療の基本です。

しかし、生活習慣の改善だけで目標血圧を達成できる方は多くありません。こうした場合には降圧薬等を使い、しっかりと血圧を下げてあげることで、目標を達成します。

また、高血圧は自覚症状に乏しい上、長期にわたり治療を継続しなくてはいけない疾患です。このため、高血圧を治療するメリット(脳卒中や心臓病のリスクを下げること)と、治療によって起こり得るデメリット(服薬を継続しなくてはいけないことやそれに伴う有害事象等)について患者さん自身が理解し、医療者と話し合いながら治療方針を決める共同意思決定(shared decision-making:SDM)が重要です。

~参考文献~

1,日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン委員会.高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025).ライフサイエンス出版,2025

日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」

2,日本高血圧学会.高血圧の10のファクト~国民の皆さんへ~.2025.

日本高血圧学会「高血圧の10のファクト」

3,Nomura S, Sakamoto H, Ghaznavi C, et al. Toward a third term of Health Japan 21—implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. Lancet Reg Health West Pac. 2022;21:100377. doi:10.1016/j.lanwpc.2022.100377.

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